人気ブログランキング | 話題のタグを見る

今日ものんびり動物園

hanazoo.exblog.jp
ブログトップ

良いお年を2019

今年も当ブログにお付き合い頂き、ありがとうございました。
良いお年を2019_b0245634_21192074.jpg
いつも新鮮な発見を齎してくれる動物たち、彼らとともに毎日頑張ってくださっている園館の職員の方々、いつも楽しいお話をお聞かせくださるzoo友さんがた、SNSで繋がっている方々、今年も大変お世話になりました。ありがとうございました。「国内のオオカミ一覧」の記事以外、多摩の訃報のみで更新できなかったにもかかわらず、当ブログを訪れてくださった方々にも、厚くお礼申し上げます。

昨年と同じく仕事が多忙のため遠征にもなかなか行けない日々ですが、多摩のオオカミたちの変化を観察し、記録する時間は仕事の疲れを癒してくれています。今年に入って頭数が減り、年齢を重ねて毎日の行動も狭まる中でも、小さな発見や変化を見つけることが楽しいです。でも、その様子を記事にあげるのはいつになることやら…(笑)来年も細々と続けて行けたらいいな〜と小さな希望を持ちつつ、時間を見つけて更新していきたいと思います。
「国内のオオカミ一覧」は今後もこまめに更新して行きますので、データベースとしてご活用頂けますと幸いです。
また、多摩のオオカミたちの様子や遠征に行った際のレポなどはTwitterなどSNSに上げるようにしていますので、興味のある方は覗いて頂けますと嬉しいです。


今年の国内のオオカミについての総括は以下から。
ここ数年は毎年訃報が多いですが、今年も例に漏れず大きな訃報の続いた一年になりました。

1月には天王寺のチュウゴクオオカミ、明明(メス)が亡くなりました。ユジンに似てとても美しい狼でした。ずっとバックヤード暮らしだったのが展示が再開されるようになり、会いたいなと思っていた矢先でしたので残念です。

2月に入って、同じく天王寺の元元(オス)が亡くなりました。彼の死因は口内にできた腫瘍によるQOLの低下で、安楽死が選択されました。動物園でこうした理由(QOLの低下)で安楽死の発表がされたのは、数年前に旭山で老齢のユキヒョウ(ゴルビー)の事例があったとき以来だと思います。欧米では治療とともに選択肢として普通に入っている措置と聞きますが、日本では動物にこういった措置をとることに、(特に対外的に)まだまだ抵抗があります。元元のことはとても残念ですが、天王寺は勇気のある発表をしたなと思います。
また、平川動物公園のシンリンオオカミ・ロジックが肺腫瘍で亡くなりました。ロジックは18年に、ミナとの間に仔をもうけたばかり。父親として良く役目を果たしていたと聞いていたので、残念でなりません。ミナは息子のジンと2頭になってしまいました。

3月は群馬のシンリンオオカミ・ビートンが亡くなりました。群馬サファリの展示オオカミは2頭&2頭の4頭になってしまいました。
富山ファミリーパークでは、お見合いを経てシートンとノンノがやっと同居開始になりました。zoo友さんやSNSで情報を聞くと、ノンノのカカア天下になっているようですが(笑)、今後の展開がとても楽しみなペアです。

5月には大きな訃報の一つ目…。円山のシンリンオオカミ・ルークが急性リンパ球性白血病で急逝しました。
良いお年を2019_b0245634_21595066.jpg
円山のラブラブペアだったジェイとキナコの長男で、とても賢く愛らしい個体でした。弟たちの面倒を良く見、父親のジェイとも最後までうまくやっていたルーク。持病があり何かと心配事は尽きない個体でしたが、まさかこんなに急に亡くなってしまうとは…。
良いお年を2019_b0245634_21595392.jpg
円山は定期的に訪問していて、ルークの成長も少しずつですが見守ってきました。今年は2月に、雪のなかで元気に動き回るルークに会ってきました。もうこの可愛らしい姿に会えないのはとても悲しいです…。

8月には、大きな訃報の二つ目が…。富山市ファミリーパークのシンリンオオカミ・サスケが老衰で亡くなりました。
良いお年を2019_b0245634_22133958.jpg
これは18年に訪問した時のサスケ。とっても可愛い感じのおじいちゃんでしたが、孫のシートンにはちょっと厳しかったです(笑)彼は全国にいる富山系オオカミたちの父や祖父にあたり、いわば今の日本の動物園のシンリンオオカミのルーツとも言える存在。生きているうちにお会いできたことは光栄でした。でも、シートンとノンノがいる環境でもう一度、お目にかかりたかったです。

11月には、円山のショウが、鹿児島の平川動物公園へ婿入りすることになりました。前述しましたが、2月に相方のロジックを亡くしたミナとのペアリングを目指すとのこと。
ショウが来園する代わりに、息子のジンは群馬サファリへ移動することになりました。ちょっと早い独り立ちになりましたね。群馬サファリではバックヤード飼育のみで展示しない個体もいるため、これからジンに会えるようになるかは未知です。私は国内のオオカミの中で、ジンにだけまだ会っていないので、今後会える可能性が減ってしまって残念でなりません。群馬サファリの公式で色々と情報を出して頂けるのを心待ちにしています。

良いお年を2019_b0245634_22491194.jpg
ユウキが移動してルークが亡くなり、ショウも移動して…円山にはジェイ1頭だけになってしまいました。ショウが平川へ行って繁殖することは到津〜円山の血統が続いて行くことになり、とても喜ばしいことだと思っています。でも…、今回の移動によって、円山の「オオカミの飼育終了」への時間がより短くなってしまったわけで、私個人としてはとても複雑な気持ちがあります。
良いお年を2019_b0245634_22533870.jpg
円山は北海道にあるという時点で既に、国内で最もオオカミ飼育に適していると言っても過言ではありません。また、近代までエゾオオカミが生息していたという教育的な意味合いでも、オオカミを展示普及することに意義がある土地だと思っています。
バックヤードは改良の余地があるものの、展示場の環境もかなり良いところなのに、飼育をやめてしまうのが本当に勿体ないです。方針転換…して欲しいなと願って止みません。
せめて、円山のオオカミ舎を思い出にしてくださる方が、これからも増えますように。
ジェイ、どうか元気で長生きしてね…!

こうして振り返ってみると、今年は私にとって大きな存在だったオオカミの訃報が多い年でした…。その中で、富山や、今後平川で新しいペアができることが、一筋の光明です。将来、いいお知らせがあることを期待したいと思います。

多摩のオオカミの総括は折り畳みます。





多摩のオオカミも今年は色々な変化のあった年でした。
18年の秋頃から大放飼場組はロイ単独と、ロト・ロキの2頭に分けられて展示になりました。小放飼場はネロ・リロ組、18年秋のマロの死後、セロ・メロ組での展示で19年をスタート。
良いお年を2019_b0245634_23105887.jpg
2月には、ずっと闘病していたリロが亡くなりました。詳細は過去記事にありますので省略しますが、こんなに長く闘病できたのが、強かったリロらしいなと思います。私は、茶目っ気があり遊び好きで活発で、かつリーダーとしての片鱗を見せていた彼女のことが大好きでした。未だに彼女がいないことが淋しくてなりません。
リロが亡くなったあと、相方のネロはほんの少しの間淋しそうにしていましたが、それもすぐになくなり、いまは一人暮らしを満喫しています。リロがいた頃よりも遠吠えの回数が減ってしまい、隣ともあまり交流しなくなりました。
逆に、リロが亡くなって一番影響を受けていたのが、隣にいたメロ(メス)。張り合うライバルがいなくなったせいか、何となく元気がなくなり、ネロへのアピールもぐんと減りました。やる気がなくなったメロの様子を見て、今まで何かにつけて競っていたリロの存在はとても大きかったんだなと実感しました。このあたりのことは観察記録に纏めていけたらいいなと思っています。

良いお年を2019_b0245634_23110160.jpg
4月には、ロトが胃捻転で急逝しました。あまりに突然のことで、多摩へ行っても彼がいないことを受け入れるのに時間がかかりました。こちらも過去記事にしていますので詳細は省きます。
良いお年を2019_b0245634_23110458.jpg
何より仲の良かったロキと、こういう光景が二度と見られなくなってしまったことが未だに残念でなりません。仲の良い個体同士でないとなかなか、オオカミらしい交流も見られません。
ロトが亡くなったあと、一緒だったロキはさほど寂しがっている様子はなかったのが意外でした。ロキはあまり行動に出さない個体(あとで爆発するタイプ)なので、私が汲み取れなかっただけかもしれません。
ロトの死を敏感に感じ取ってナーバスになっていたのは、放飼場で柵越しにしか顔を合わせていなかったセロでした。隣同士で遠吠えの応酬をしていたこともあり、セロにとって、ロトの存在は大きかったようです。

ロトが亡くなったあと、6月に入ってから、部屋が隣同士で単独展示だったロイとロキの同居が試みられました。
良いお年を2019_b0245634_23361326.jpg
試験的な同居をかさねて一緒に放飼場に出るようになりましたが、当初は「一緒に出ている赤の他人」といったふうで、交流もなければ諍いもせず、お互いに存在を無視している様子で、観察していてハラハラしました。もともと群れだった頃もこの2頭の間には溝がありましたので、何も起こらないことをひたすら祈るのみ(笑)
夏の間は、諍いが起こらないように室内では1頭ずつで就寝させていました。

それから徐々に徐々に…時間が経つにつれてロイとロキの仲は進展して行きました。
まずは部屋を2頭一緒にするようになり…
良いお年を2019_b0245634_23435466.jpg
今までほとんど一緒に歩くことがなかったのが、10月下旬頃には並んで歩いたり、前後になってパトロールをするようになり…
良いお年を2019_b0245634_23445530.jpg
11月に入ると、群れの時には定番だった、収容前の追いかけっこをするまでに!
良いお年を2019_b0245634_23453713.jpg
収容後、給餌をしたあと目の前でガウガウ言いながら絡むのも、いつのまにか復活しました。これも、室内での同居当初は一切見られなかったので、仲が進展した証拠と言えそう。一度別れたものの、部屋を隣同士にしていた成果が出たのかなあ。とにかく、短期間で仲が回復したのは嬉しかったです。序列は今のところロキのほうが上の様子なので安心していますが、ここから、調子に乗ったロイがロキの反発を買うことがないよう、末永くこの状態が続くように祈るばかりです(笑)

ちょっと駆け足でしたが、昨年から変化のあった多摩のオオカミたち。これからどんな表情を見せてくれるのか、来年も追いかけていきたいと思います。
こちらに記事にするのはいつになるか分かりませんが、記録として残しておきたいと思っているので、ほんとに気長にお待ち頂ければ幸いです。

読んで頂き、ありがとうございました。来年がオオカミたちにとって、みなさんにとって良い年になりますように。

by hana440 | 2019-12-31 23:53 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)