多摩オオカミ一家の次女・チロ(メス12歳)が、11月13日に腎不全で亡くなりました。
昔からコリーのような優しい顔立ちをしていて、オオカミ生の後半は闘争による怪我で両耳が垂れてしまったため、誰にでも識別しやすい、印象に残る個体でした。
ロボ父ちゃん亡き後、4頭になったきょうだい群れの紅一点として、マスコット的な存在感を放っていたチロ。ここ最近では、暴走しがちなロイを宥め、ロトやロキとの闘争を止める役割も担っていました。
オスグループの中にいたからか、10歳を超えてもアクティブに楽しそうに過ごしていたチロ。
倒れる直前まで、枝を齧ったりバッタ狩りをしたりと、放飼場でお茶目な一面をたくさん見せてくれました。
昨年あたりから少し病気の兆候があって、アレ?と思う動作や行動もしばしばあったものの、高齢だからかもと思っていた点が多くありました。暑さが本格的に出始めた頃から、目視でも分かるほど弱って行ったチロ。夏の間はひとり休んでいる時間も多かったです。弱ってきたチロがきっかけになって、4頭のきょうだい群れからロイを隔離することになりました。こちらは追々、観察日記に纏めます。
それでも、10月の下旬に下半身が麻痺して立てなくなるまで、普通に放飼場に出て過ごしていました。ただ、チロの病気が目に見えて悪くなっていることや、一緒にいるロトやロキの行動から考えて、「チロの死期が近いかもしれない」とある程度の覚悟はしていました。
私が最後にチロの顔を見たのは、倒れる直前の10月27日。写真はこの日のチロです。この日も放飼場で過ごしていたものの、時折意識が朦朧としているような様子を見せており、心配は増すばかりでした。
月末に立てなくなったあとは、獣舎の療養部屋で過ごすことになり、奥の部屋だったため顔が見られませんでした。
最期までの一ヶ月ほどは、見ているこちらが辛くなるような病状でした。
それでも、少しの時間見つめていると、この写真のように穏やかな表情を見せてくれたチロです。ありがとうね。きっと長い間苦しかったろうに、本当に本当によく頑張ったと思います。
チロが群れの中にいたことで、亡くなる直前まで、たくさんの発見と知見を齎してくれました。感謝してもしきれません。
旧獣舎でのオメガの頃から、ロボが亡くなるまで、4頭のきょうだい群れになってから今まで…色々あっても最期までずっと群れにいた彼女はとても大きな存在だったな、と今さら実感しています。
チロ、本当にありがとう。どうか安らかにね…。
9月にマロ、11月にチロと、今年は多摩のオオカミが一気に2頭も亡くなってしまいました。もう全頭が10歳を超える老齢なので、いつ、何が起こってもおかしくないですが、こうも立て続けに亡くなると喪失感が半端ないです。残されたみんなが、一日でも長く元気で、楽しく過ごせますように…。
(写真は全て18年のものです)