東山動植物園のシンリンオオカミ、ジャネット(メス7歳)が18年3月4日に亡くなりました(
公式発表)。彼女を偲んで、昔の写真からいくつか振り返りたいと思います。
彼女と初めて会ったのは仔狼のときの2010年。旧獣舎で兄弟と愛くるしく遊ぶ様子が印象的でした。この時東山でMTJを見てから、仔狼の成長を定期的に見られたらと思い始め、毎年同じくらいの時季に東山を訪問するようになりました。
(以下2011年撮影)翌年、1歳になる直前には弟妹が生まれ、広い放飼場に父ジャックと、マイケル・ティトの兄弟と一緒に出ていたジャネット。このときはまだ序列がハッキリせず、かつ唯一のメスだったジャネットはのびのびと活発な、強気のお転婆娘という印象でした。兄弟とも戯れ合い、ひとりでも虫を追いかけたり水場で泳いだりと、クルクルとよく動き回っていました。隣には母ソニアと11年生まれの仔狼たちが出ていて、マイケルとともに尻尾をブンブン振りながら、檻越しに嬉しそうに弟妹たちと挨拶していたジャネット。家族みんなと一緒になったときも、立派にお姉さんをしていたようです。1歳のときからすでに、美しさの際立った佇まいでした。彼女の美しさに魅了された方もたくさんいたと思います。
続きは折り畳みます。
2012年には新しい獣舎ができて引っ越しましたが、11年生まれの弟妹が1歳を迎えた頃にだんだんと序列闘争が起こるようになり、群れの最下位になってしまったジャネット。彼女の溌剌とした印象から、最下位になるとは想像もしていなかったのでこれには驚きました。(関連記事は
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その後、2013年の訪問では群れから隔離され、旧獣舎で暮らすようになります。
(以下2014年撮影)のんびりとひとり暮らしになったジャネット。群れにいたときよりも表情は明るくなっていましたが、まだ若干、オドオドしていました。心細いのか、短い時間の観察でも数回、遠吠えをしていました。新獣舎の家族は答えたり、答えなかったり。
それでも、ひとりになってホッとしているようで、広い展示場を思うままに散策する様子が見られて嬉しかったです。
この後、単独展示だったアオイと同居が試みられたり(仲良くなれず短日で終了)、群れのアルファを追われたジャックが隣に引っ越して来た末、一緒に暮らすようになったりと、色々な出来事がありました。
私が最後に彼女に会ったのは、17年の5月。
(以下2017年撮影)
旧獣舎には、ジャックとの暮らしにもすっかり慣れ、堂々と自信を取り戻したジャネットがいました。
ジャックと遠吠え(^^)
繁殖期ではなかったので、終始ベタベタすることはありませんでしたが、2頭でマーキングを重ねるなど親密な関係になっていることが窺えました。ジャックは去勢しているので繁殖はできませんが、今年の冬には交尾も見られたそう。
旧獣舎での暮らしは熱心な担当さんのもと、とても幸せそうでのびのびとしていて、ジャネットの笑顔がたくさん見られて嬉しかったです。このときが彼女に会えた最後になりました。
国内ではジャネットが一番美しいオオカミだと言っても過言はないと思います。
東山に行っても彼女にもう会えないのは、とてもとても淋しいです。
ジャネット…、今まで本当にありがとう。
奇しくもジャネットが亡くなった3月4日は、兄弟のマイケル・ヒカル・ゲンキが転出する前日でもありました。東山は、一気に4頭のオオカミがいなくなったことになります。3頭の転出とジャネットの死亡によって、これから様々な動きがありそうです。
どちらにしても今年の訪問は、ものすごく淋しいものになりそう…。