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今日ものんびり動物園

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繁殖期後半に頻発する行動(2017/3/5、3/11)

2017年の繁殖期は、16年よりももっと穏やかな雰囲気で終わりかけている大放飼場の4頭。
毎年のことなのですが、繁殖期の終わりである2月下旬〜3月になると、常よりもよく観察される行動があります。
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4頭で遠吠えをしたあと…
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始まる挨拶合戦。4頭になってからは、遠吠え後に必ずやる行動ではなくなってきましたが、長引いてくると…
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まずは1位のロイ(左、オス9歳)が少しずつ権威の誇示をし始めます。和やかな中にひとりだけ尾をピンと立てて張りつめた空気を持ち込むのですが、きっかけは自分がほんの少しの間挨拶の外だったり、2位のロキ(中央右奥)が自分に挨拶を返してこなかったり、チロ(右、メス10歳)が他の2頭とあんまり仲が良さそうだったり、とその時々のロイの心境によるようです。
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普段よりも頻発するという行動はここから。ロイの誇示の雰囲気を察した最下位のロト(手前、オス9歳)の、ロイへのゴマすり具合が一段と激しくなるのです(笑)まずは下からの熱烈な体当たり!思わずロイものけぞっちゃうほどの勢い(笑)
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ねー機嫌なおして〜?な空気をだしつつ、あくまで下から、地面に這いつくばってロイのご機嫌を取ろうとします。ロイはこういう時すぐ軟化するわけではなく、初めのうちは頑なに強い態度を取ります。これは毎回そうなので、ある種儀式めいてるようにも見えます。

さて、これからどうなるでしょうか?続きは折り畳みます。






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更にロイの真下に入って口元を舐めるロト。隣で2位のロキ(オス8歳)は含み笑いをしているように見えますが、実際はロイからの圧力を受けてどうしようか考えているところ。
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ロキが答えを出す前に、ロトが更に激しくロイに迫ります(笑)ロキの反応次第でロイの機嫌が悪くなることを分かっているロトは、それを阻止するべく?かなり強引に、勢いづいて挨拶を繰り返しています。ロイの注意を自分に引きつけようと必死。ロトのあまりの勢いに、ロイは根負けして次第に軟化していきます。
ちなみにオス3頭での序列確認になったときは、メスのチロは無関心。あまりに激しいやり取りが続くと稀に仲裁に入ってきますが、基本的には離れたところにいたりします。
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最後は何故かロトが輪から飛び出してダッシュ!して終了。ここまでの一連のロト(最下位個体)の行動は、特に3月に入ると、一日の間に何度も見られるようになります。また、普段よりもボディランゲージの勢いが強くなるのが特徴です。まるで、自分の欲求不満を上位への挨拶に託しているかのよう。
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さて飛び出していったロト、そのまま我に返ったように沈静化する場合と、気分が高揚したままで他個体に遊びをしかける場合と二つのパターンがあります。この回では、走ったあとは気持ちが落ち着いたようです。
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この行動がこの時期に頻発するのはロトだけでなく、歴代の群れの最下位オス個体でも見られました。この時期特有の、冬の合間の暖かな日に見られるので、春の陽気が近付いて来ているのも影響している気がします。


そしてもう一つよく見られるようになるのが、穴掘りです。
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上述した最下位個体の行動と同じく、穴掘りも通年でどの個体でも見られる行動ではありますが、この時期になると上位のオスメスが頻繁にやるようになります。16年からは上位オスメスがロイとチロで安定しているからか、季節が来るとこの2頭がしきりに穴を掘るようになりました。群れの頭数は減ったのに、穴の数はどんどん増えている大放飼場。
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もともと夏場に避暑地として掘っていた穴なども拡張して深くしているようでした。
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木の根元も容赦なく掘り進みます(笑)植栽が持つかどうか心配になります。
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掘る作業はひとりで行っていることが多いのですが、その後の出来をロイとチロで確かめたり、二人で代わりばんこに入ったりしていることも。擬似的ではあれどペアのつもり、掘る穴は巣穴のつもり、なのかもしれません。
植栽のあるところなどは岩でガードしたりして、常にオオカミたちと職員さんたちの攻防が繰り広げられています(笑)
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中にはオオカミの身体がすっぽりと入ってしまうほど深い穴も掘られており、なかなか興味深い行動です。穴のほとんどがガラス前の丘の周辺に集中しているのは飼育個体故、かもしれません。その年の繁殖期に何個穴を掘ったかも、何かの指標になりそうですね。
雑草が茂る前のこの季節のうちに、どこにどのくらいの穴を掘っているのか記録しておくと、夏場の居所を探すのに役立つのです(笑)

by hana440 | 2018-03-04 22:25 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)