今年も当ブログを訪れてくださった皆様、ありがとうございました。
そして、いつも変わらず迎え入れてくれる動物たち、日々彼らとともに働いている園館の職員さんがたにも、心からお礼を申し上げます。今年もお疲れ様でした。
今年は年初からショックな出来事が続き、また私事で忙しく、多摩へ通う頻度を少し減らすことになった年でした。
ブログに関しては相変わらず主だった記事を更新できず、申し訳ありません。ブログ・SNS共に来年も気まま発信になりますが、気が向いた時に覗いていただけますと幸いです。
冒頭の写真は今年の12月上旬、小放飼場にいるセロです。多摩のオオカミ放飼場は様々な植物が生い茂っているので、その年ごとに、オオカミと四季を感じる光景が見られます。今年は「アジアの平原」が開設して10年の節目の年でした。10年前は、こんなに自然の繁茂する放飼場になるとは思いもしませんでした(笑)南からの日当たりの良さが夏場の難点ではありますが、いい放飼場になったなあとしみじみ思います。
毎年のことですが、今年も訃報が続いた年でした。まずは多摩以外のオオカミたちの総括から。
1月、群馬サファリパークのシンリンオオカミ、エフィー(メス)が亡くなりました。群馬は09年・10年と産仔が多かった中、エフィーだけが唯一のメス個体でしたが、群れの中での闘争で怪我を負い、それから室内飼育になったとのことでした。私が群馬を訪問した時にはもう群れ分けをしたあとだったので、会えずじまいでした。どんな顔立ちだったのか、一度会ってみたかったです。
2月から3月までは特記することはなく、それぞれの飼育園からの楽しいニュースが続いていました。22年末にジュリ・カエデ姉妹が移動した円山や、22年からホッキョクの展示を始めた大森山は、情報発信の頻度が上がっているように感じます。
4月には、富山ファミリーパークのシンリンオオカミ、シートン(オス)が腹膜炎により亡くなりました。
私はシートンとは18年に会いに行ったきりで、その時は祖父のサスケと2頭で飼育(展示は別)されていた頃でした。大雪の中、突然スイッチが入ったように楽しそうに駆け回ったりゴロゴロしたり、ひとり遊びが上手な、お茶目なキャラクターが垣間見える個体でした。その後のノンノとのペアリングの様子は観察できていなかったため、再訪しなかったことをとても後悔しています。シートンが亡くなったことにより、群馬の血統を受け継ぐペアは日本にいなくなったことになります。
5月上旬、東山動植物園のシンリンオオカミ(?)、ティムとリンが同居を開始。繁殖を目指すとのことですので、今季からの動向が気になるところではありますが…、個人的には昨年の「良いお年を」の記事や「国内のオオカミ一覧」に書いた通りの見解が払拭できないので、他の園に比べると注目する優先度は下になっています。ただ、いつか2頭の実物は見ておきたいと思っています。
5月は今年唯一の遠征で、ホッキョクオオカミたちに会いに大森山へ行ってきました。
メス姉妹のルーシー&ニッキー、オスのムーンと両方の展示を見ることができました。どちらも年齢が若いからか、エネルギッシュで終始遊びっぱなし!観察していて非常に楽しく、興味深かったです。ルーシー&ニッキーの姉妹は冬に入ってから序列闘争があったようですが、今後の関係性がどうなっていくのかも注目しています。オスのムーンはこれまで見たオオカミたちの中で一番、やんちゃで子供っぽい印象でした。これから姉妹とペアリングをしていくでしょうし、オスとしてどんなふうに成長してゆくのか、先が楽しみです。6月・7月は特にニュースはなし。初夏から気温が高い日々が続き、オオカミたちには特に辛い夏となりました。8月、東山のシンリンオオカミ、ノゾミ(メス)の皮膚に病変が見つかり、入院することに。10月には回復して展示に復帰していますが、糖尿や高齢の影響が徐々に出てきているのかな…と心配しています。
下旬には群馬サファリパークのシンリンオオカミ、ジン(オス)が亡くなりました。ジンは平川でロジック(群馬)とミナ(旭山)との間に生まれた唯一の生き残りでした。死因は不明ですが、幼い頃から発育不全(骨など関節系)かもしれないという様子があったことや、ジンの同胎きょうだいの死亡要因を考えると、群馬と旭山の個体は遺伝子的に合わないのでは?と推察していたこともあり、何が要因となったのか知りたかったです。エフィー同様、ジンにも会うことが叶いませんでした。群馬に残されたオス3頭の年齢を考えると今後の繁殖は厳しいと考えられ、群馬(ゼットン)の血統はここで途絶えてしまうことになります。非常に残念です…。
9月、天王寺動物園のチュウゴクオオカミ、メラ(メス)に膀胱炎が見つかり、投薬治療を開始したとブログで報告がありました。メラはメスたちのリーダー的存在と思われるので、体調が悪くなると他個体との関係性に影響が出るかもしれません。回復できるよう祈っています。天王寺はオオカミのこうした健康上のトピックスを逐次ブログにあげてくださり、詳細も分かりやすいため、とてもありがたいです。
10月は大きな移動がありました。平川動物公園のシンリンオオカミ、ゼン(オス)が富山ファミリーパークへ。
(2022年12月撮影)
富山へ来園してから、SNSで様子がまめに発信されていますが、展示場の馴致はしているものの、改めて「展示開始しました」との知らせはまだできないようです。平川で家族と過ごしていた時も、ゼンはきょうだいのなかで一番警戒心が強い様子が見てとれたので、新しい暮らしにもまた慎重になっているのでしょう。転園したものの、家族と離れて動揺した様子はなさそうで、ゼンの独り立ちは順調にできたんだなと安心しました。富山では将来的にゼンのパートナーとしてメス個体を導入予定とのことで、これからも楽しみです。
11〜12月は平和だったようです。22年は怒涛の訃報ラッシュだったので、今年は少し控えめに感じますが、それでもやはり悲しいことの多い1年でした。いよいよ繁殖シーズンに突入してきたため、各園のオオカミたちの動向も気になるところです。個人的には、那須のアザリーとシンラに進展があるといいなと願っています。
多摩の総括は折りたたみます。
年初から訃報が続いた