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今日ものんびり動物園

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良いお年を 2023年

今年も当ブログを訪れてくださった皆様、ありがとうございました。
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そして、いつも変わらず迎え入れてくれる動物たち、日々彼らとともに働いている園館の職員さんがたにも、心からお礼を申し上げます。今年もお疲れ様でした。
今年は年初からショックな出来事が続き、また私事で忙しく、多摩へ通う頻度を少し減らすことになった年でした。
ブログに関しては相変わらず主だった記事を更新できず、申し訳ありません。ブログ・SNS共に来年も気まま発信になりますが、気が向いた時に覗いていただけますと幸いです。

冒頭の写真は今年の12月上旬、小放飼場にいるセロです。多摩のオオカミ放飼場は様々な植物が生い茂っているので、その年ごとに、オオカミと四季を感じる光景が見られます。今年は「アジアの平原」が開設して10年の節目の年でした。10年前は、こんなに自然の繁茂する放飼場になるとは思いもしませんでした(笑)南からの日当たりの良さが夏場の難点ではありますが、いい放飼場になったなあとしみじみ思います。


毎年のことですが、今年も訃報が続いた年でした。まずは多摩以外のオオカミたちの総括から。
1月、群馬サファリパークのシンリンオオカミ、エフィー(メス)が亡くなりました。群馬は09年・10年と産仔が多かった中、エフィーだけが唯一のメス個体でしたが、群れの中での闘争で怪我を負い、それから室内飼育になったとのことでした。私が群馬を訪問した時にはもう群れ分けをしたあとだったので、会えずじまいでした。どんな顔立ちだったのか、一度会ってみたかったです。
2月から3月までは特記することはなく、それぞれの飼育園からの楽しいニュースが続いていました。22年末にジュリ・カエデ姉妹が移動した円山や、22年からホッキョクの展示を始めた大森山は、情報発信の頻度が上がっているように感じます。
4月には、富山ファミリーパークのシンリンオオカミ、シートン(オス)が腹膜炎により亡くなりました。
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私はシートンとは18年に会いに行ったきりで、その時は祖父のサスケと2頭で飼育(展示は別)されていた頃でした。大雪の中、突然スイッチが入ったように楽しそうに駆け回ったりゴロゴロしたり、ひとり遊びが上手な、お茶目なキャラクターが垣間見える個体でした。その後のノンノとのペアリングの様子は観察できていなかったため、再訪しなかったことをとても後悔しています。シートンが亡くなったことにより、群馬の血統を受け継ぐペアは日本にいなくなったことになります。
5月上旬、東山動植物園のシンリンオオカミ(?)、ティムとリンが同居を開始。繁殖を目指すとのことですので、今季からの動向が気になるところではありますが…、個人的には昨年の「良いお年を」の記事や「国内のオオカミ一覧」に書いた通りの見解が払拭できないので、他の園に比べると注目する優先度は下になっています。ただ、いつか2頭の実物は見ておきたいと思っています。
5月は今年唯一の遠征で、ホッキョクオオカミたちに会いに大森山へ行ってきました。
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メス姉妹のルーシー&ニッキー、
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オスのムーンと両方の展示を見ることができました。
どちらも年齢が若いからか、エネルギッシュで終始遊びっぱなし!観察していて非常に楽しく、興味深かったです。
ルーシー&ニッキーの姉妹は冬に入ってから序列闘争があったようですが、今後の関係性がどうなっていくのかも注目しています。
オスのムーンはこれまで見たオオカミたちの中で一番、やんちゃで子供っぽい印象でした。これから姉妹とペアリングをしていくでしょうし、オスとしてどんなふうに成長してゆくのか、先が楽しみです。
6月・7月は特にニュースはなし。初夏から気温が高い日々が続き、オオカミたちには特に辛い夏となりました。
8月、東山のシンリンオオカミ、ノゾミ(メス)の皮膚に病変が見つかり、入院することに。10月には回復して展示に復帰していますが、糖尿や高齢の影響が徐々に出てきているのかな…と心配しています。
下旬には群馬サファリパークのシンリンオオカミ、ジン(オス)が亡くなりました。ジンは平川でロジック(群馬)とミナ(旭山)との間に生まれた唯一の生き残りでした。死因は不明ですが、幼い頃から発育不全(骨など関節系)かもしれないという様子があったことや、ジンの同胎きょうだいの死亡要因を考えると、群馬と旭山の個体は遺伝子的に合わないのでは?と推察していたこともあり、何が要因となったのか知りたかったです。エフィー同様、ジンにも会うことが叶いませんでした。群馬に残されたオス3頭の年齢を考えると今後の繁殖は厳しいと考えられ、群馬(ゼットン)の血統はここで途絶えてしまうことになります。非常に残念です…。
9月、天王寺動物園のチュウゴクオオカミ、メラ(メス)に膀胱炎が見つかり、投薬治療を開始したとブログで報告がありました。メラはメスたちのリーダー的存在と思われるので、体調が悪くなると他個体との関係性に影響が出るかもしれません。回復できるよう祈っています。天王寺はオオカミのこうした健康上のトピックスを逐次ブログにあげてくださり、詳細も分かりやすいため、とてもありがたいです。
10月は大きな移動がありました。平川動物公園のシンリンオオカミ、ゼン(オス)が富山ファミリーパークへ。
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(2022年12月撮影)
富山へ来園してから、SNSで様子がまめに発信されていますが、展示場の馴致はしているものの、改めて「展示開始しました」との知らせはまだできないようです。平川で家族と過ごしていた時も、ゼンはきょうだいのなかで一番警戒心が強い様子が見てとれたので、新しい暮らしにもまた慎重になっているのでしょう。転園したものの、家族と離れて動揺した様子はなさそうで、ゼンの独り立ちは順調にできたんだなと安心しました。富山では将来的にゼンのパートナーとしてメス個体を導入予定とのことで、これからも楽しみです。
11〜12月は平和だったようです。22年は怒涛の訃報ラッシュだったので、今年は少し控えめに感じますが、それでもやはり悲しいことの多い1年でした。いよいよ繁殖シーズンに突入してきたため、各園のオオカミたちの動向も気になるところです。個人的には、那須のアザリーとシンラに進展があるといいなと願っています。


多摩の総括は折りたたみます。


年初から訃報が続いた
# by hana440 | 2023-12-31 23:20 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(1)

良いお年を 2022年

今年も当ブログを訪れてくださった皆様、ありがとうございました。
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そして今年も新しい知見を得る喜びをもたらしてくれた動物たち、コロナ下で奮闘されている園館の職員さんがたに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

もうすっかり「国内のオオカミ一覧」しか更新しないブログになってしまいました。オオカミたちのこと、大好きな動物たちのこと、遠征で訪れた動物園のこと…綴りたいことはたくさんあるのですが、時間と気力が復活しないまま2022年も過ぎてしまいました。ブログ・SNS含めて「気負わずに自分のやりたい時だけ発信しよう」をモットーに、これからも気の向くまま発信をしていくつもりです。
冒頭の写真は、もうきっと観られない光景を…と「いつも通り」だった多摩の大放飼場の写真を選びました(今年11月撮影)。これについては多摩の総括にて。



今年は国内のオオカミたちにとっては喜ばしいこともあった反面、悲しい訃報が続いた激動の1年だったと思います。
1月は特にニュースになることはありませんでした。
2月、ヨーロッパオオカミのメイがいた浜松市動物園に、ズーラシアからリカオンが導入されることになり、メイの暮らしていた獣舎で展示が始まりました。移動したのはオスの兄弟2頭で展示普及のため(繁殖なし)と考えられますが、このことで浜松では今後しばらく、オオカミの飼育はしないことが確定しました。ノウハウはあるので、機会があったらまたいつか、オオカミを飼育して欲しいな…というのが本音です。

3月下旬、円山動物園のシンリンオオカミ・ジェイに後肢のふらつきがみられ、展示中止に。4月上旬までは調子の良い時に外に出ていたそうですが、その後は完全に室内療養に切り替えられました。円山の公式SNSで時々様子がつぶやかれていましたが、残念ながら5月3日に亡くなりました。
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円山はジェイを「飼育する最後の個体」と位置付けていただけに、当時は残念でなりませんでした。個人的には、コロナで自粛している間にジェイに会えないまま、彼が逝ってしまったことにとても後悔しています。かわいいおじいちゃんオオカミだったジェイ。いつもカメラの前を横切るジェイ。優しい顔つきと、ちょっとお茶目なところが大好きな個体でした。

5月に入った頃、大森山動物園がシンリンオオカミのシンとジュディーを引退させると発表。高齢のため、動物病院でのんびりと暮らすようにとのことでした。この発表のあった頃には、もう大森山にはドイツからホッキョクオオカミ3頭が来園していたわけですが、ホッキョクを導入する計画が先だったのか、それともシンとジュディーの身体を慮った結果の展示変更が先だったのか…どちらなのかは知りたいところです。とはいえ、「高齢個体が元気なうちに展示のストレスから解放させる」という点では賛成でき、これからの動物園動物にとって、もう一つの道が示されたなあと思っています。
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引退を知っていたわけではないのですが、3月にジェイが倒れたと知らせが入った時に、ジェイかシンに会っておかねばと思い立ち、確実に会える大森山を訪問しました。大森山に行くのは10年ぶり。シンは3頭のオス兄弟の中では最後まで若々しい姿でしたが、すっかり歳をとって、愛らしいおじいちゃんオオカミになっていました。
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一方ジュディーのほうは歳を感じさせない姿で驚きました。今や国内最高齢の彼女ですが、「美魔女」という言葉がしっくり来ます(笑)2頭ともまだ元気に展示場に出ている姿に会えて良かったです。
その後、6月に夫婦で引退してすぐ、シンは亡くなりました。何もかもタイミングが良すぎて…大森山の先見の明(?)はすごいなと。会えないのは寂しいですが、静かな環境でのんびりひとり暮らしになったジュディーには、どうか長生きして欲しいものです。

6月に入ると今年最大の嬉しいニュースが!
平川動物公園でショウとミナの間に5頭の仔オオカミが生まれました。
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ここ数年で一番の僥倖と言って良いのではないでしょうか。私も7月に暑さでヘロヘロになりながら会いに行きました。5頭が全員、順調に大きく育ってくれて本当に良かったです。産仔がこんなに多いのは、群馬以来で実に12年ぶりになります。
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年齢的に体力がキツくなって来た父親のショウが子育てに積極的でなかった分、母親のミナがものすごく頑張っている姿が印象的でした。こんなに子沢山の家族の子育てを観察するのは初めてで、とても興味深かったです。

7月に入り、シンとジュディーが引退した大森山で、ホッキョクオオカミの展示が始まります。オス1頭、メス姉妹2頭のローテーションだそうですが、どちらもまだ若く好奇心旺盛で、とても楽しそうに過ごしている様子が、たびたび園のSNSで発信されています。年齢も性別も、今後の繁殖を考えた導入と思われます。いつか会いに行くのがとても楽しみです。
また、下旬には東山動植物園に新しいシンリンオオカミ、オスのティムとメスのリンが海外から導入されたと発表がありました。ただ、写真(特にオスのティム)を見るに、「オオカミではなくイヌなのでは?」という印象が拭きれず、いまだその疑問は解消されないままです。東山は大都市圏の大きな動物園ですし、教育普及の責務を負う施設として、私のようなただのオオカミ好きに「イヌかもしれない」と思わせるような動物を"シンリンオオカミ"として展示することに、もっと危機感を持っていただきたいと思います。公式SNS上では「カッコいい」「かわいい」など容姿や様子にフォーカスを当てて誤魔化しているようにしか見えません。カッコよくても可愛くても、イヌはシンリンオオカミにはなり得ません。
ティムとリンにも機会があれば会いに行きたいと思っていますが、このことで東山という園に対する信用度がゼロになってしまったので、正直行っても楽しくないだろうなと思ってしまいます。コヨテをシンリンオオカミと偽っていた某北関東の園を思い出しますね。

8〜10月までは大きなニュースがありませんでした。
11月になると、円山と平川からシンリンオオカミ移動のアナウンスがあり、4月に平川で生まれたジェイの孫・カエデとジュリが移動することに。
円山はジェイが亡くなって展示終了になるかと思いきや、円山籍のショウの仔が生まれたため、引き取ることになったそう。命が繋がって、孫が祖父の園に帰ることになったこと、こうして園の計画が延期になったこと、巡り合わせってあるんだなあ…としみじみ感動した出来事でした。何はともあれ、気候が適した北海道の札幌で、再びオオカミが飼育できるようになったこと、本当に良かった!

12月は訃報が続いた月でした。特に先日聞いたばかりの訃報は、まだ私の中では信じられない気持ちでいっぱいです。
12月1日、群馬サファリパークのサクラが老衰で亡くなりました。彼女がサスケの子供たちのうち、最後の個体でした。22年中にジェイ・シン・サクラときょうだいが一気に亡くなってしまいました。私はお会いしたことがなかったので、非常に残念でなりません。シンに面影が似た、優しい顔の個体でした。
10日には、天王寺動物園のチュウゴクオオカミ・ミザが胃捻転のために急逝。天王寺にはしばらく行けてないので、彼女にもきちんと会えずじまいでした。
そして…、28日に平川のミナが胃拡張で急逝しました。
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12月に会いに行ったばかりで、いまだに訃報を信じられません。もっとこの先、ショウと歳をとっていく様子を見て行きたかった…非常に残念です。残されたショウと仔のゼン・シズク・ヨモギが心配です。
今年は多摩のメロも含め、胃捻転(胃拡張)で亡くなった個体が3頭もいます。胃捻転は致死率の高い病気ですが、防止できる対策もあるそうです。他にも高齢化で様々な症例が出てきて、以前にはなかった詳細なデータも蓄積されているように思います。オオカミの飼育園館で情報を共有しあって、なるべく病気を防ぐ・治療するノウハウや策を共有していって欲しいなと改めて思います。


多摩のオオカミについての総括は折りたたみます。


突然の訃報と…
# by hana440 | 2022-12-31 23:49 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(2)