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今日ものんびり動物園

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良いお年を 2024年

今年も当ブログを訪れてくださり、ありがとうございました。
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いつも元気な姿を見せてくれる動物たちと、その毎日を支えている園館の職員の皆様に、心から感謝申し上げます。今年もお疲れさまでした。
上の写真はこの12月に撮った多摩のオオカミ大放飼場です。茂みの中にスイが隠れているのですが、その姿を捉えてはいません。
今年はプライベートで生活の変化があったものの、多摩には変わらず通い続けた1年となりました。忙しくてほぼ休暇がとれず、まったく遠征ができなかったことが心残りです。来年はどこか、遠くのオオカミたちに会いに行けるといいなと願っています。
ブログ・X(Twitter)ともに気まま過ぎる発信になってしまって、訪れていただいてる皆様には申し訳ない限りです。来年も変わらず頻度の低い発信になると思いますが、気が向いた時に覗いていただけますと嬉しいです。

まずは全国のオオカミたちの総括から。今年も、世代交代の波を感じた一年となりました。
1〜3月までは特に変化はなかったように感じます。強いて言えば、23年に富山に行ったゼンと、先住のノンノが安定して同居するようになったことくらいでしょうか。今でも2頭は一緒の放飼場で過ごしているようです。今季初めての発情期を迎えるので、関係がどうなるか注目しています。

4月に最初の訃報、天王寺の楽楽が死亡しました。以前から腎臓の病気で入院しており、QOLを考えた結果での安楽殺でした。
楽楽と言えば…まだ姉妹群れのリーダーだった時に朝イチで獣舎の前を訪問したら、いち早く駆け寄ってきて遊びの催促をしてくれた個体でした。あの日、楽楽を筆頭に、まだ若かったおてんば姉妹たちとたくさん駆けっこした思い出は一生忘れません。とても理知的な顔つきの、長女らしい個体でした。昨年は大学の研究などでも活躍しており、元気な姿を見せてくれていただけに、残念でなりません。天王寺の09年生まれの兄妹は、萌萌だけとなりました。

5月の連休中に、北海道のノースサファリサッポロで、ホッキョクオオカミ4頭が公開となりました。セルビアの動物園から来園した2歳くらいのオス1頭・メス3頭で、それぞれ血縁はなく、今後繁殖を目指していくものと考えられます。たびたびNSSのYouTubeでオオカミたちの動画が上がっています。もう序列もほぼ決まっているようで、あまり激しい様子はなく、今のところは穏やかな関係性を築いているようです。
JAZA非加盟園でホッキョクオオカミが飼育展示されているのは残念に思いますが、将来繁殖から移動などになった時に、他園へどう影響するのか注目していきたいと思います。
5月はもう一つ嬉しいニュースがあり、那須どうぶつ王国のアザリーとシンラの間に2頭の仔が生まれました。どちらも身体に心配な所見が見られ、残念ながらオスのいぶきは亡くなってしまいましたが、メスの真白は順調に育って、9月に公開の運びとなりました。ちょうど同じ時期にシャトルバスが復活したので、私もホッキョクオオカミの家族に会いに、なすどへ行ってきました。
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幼い個体特有の黒い毛や茶色っぽい毛が混じっていました。両親よりも毛足が長く、顔のかわいさと相まってどことなくアンバランス(笑)とても可愛かったです。
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後肢に少しぎこちないところはあるものの、子供らしく駆け回り、両親にも遊んでもらって、楽しく過ごしている様子を見られて嬉しかったです。今後、どんな家族になっていくのか、また来年の繁殖はあるのか、期待しています。真白が生まれて群れ展示がメインとなったことで、今は別飼育になっているメスのサンナの処遇はどうなるのか、そこも注視していきたいです。

6月あたりから夏の厳しさが見え始め、今年は酷暑の期間が長く続きました。
7月、国内最高齢のシンリンオオカミ、大森山のジュディーが18歳で亡くなりました。
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(2022年撮影)
彼女は国内のオオカミ史に残る「美魔女」だったと思います。私は昨年の春に大森山を訪問した際、動物病院で会えたのが最後になりました。足腰は少し衰えたかなと感じる歩様でしたが、毛並みや体格は年齢を感じさせない美しさでした。伸びをするときに、前足はほとんど伸ばさないのに、後ろ足は普通に伸ばす姿勢だったのがなんともユーモラスで印象に残っています。旭山系とはまた違った、大きめの骨格で風格ある白毛個体でした。寿命とはいえ、もう会えないのは残念です。

8月にも悲しい知らせが飛び込んできました。旭山のシンリンオオカミ長女、レラが亡くなりました。
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(2022年撮影)
私が最後に会えたのは22年の春になりました。この時には弟妹のノチウ・ワッカと3頭で過ごしていましたが、序列は変わらず一番下で、ワッカの様子を窺いながらも穏やかな表情で過ごしていたことに安心したのを覚えています。
弟妹たちが生まれるとしっかりヘルパーの役目を果たし、「優しいみんなのお姉ちゃん」の印象が強かったレラ。ずっと群れのメンバーだった彼女の存在感はとても大きかったと思います。高齢だったとはいえ、同腹のヌプリも元気そうだし、まだまだ大丈夫と思っていたのでとても寂しいです。

9月にかけては、長引く暑さのために調子を崩している、展示を見合わせているという個体も多かったようです。

そして10月、神戸どうぶつ王国のシンリンオオカミ、マイケルが亡くなりました。
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(2019年撮影)
9月下旬からたびたび展示を見合わせるようになり、亡くなる前週から治療を受けていたそうです。なぜか発表がないため、死因は分かりません。
マイケルは東山兄妹の長男として生まれ、群れの変遷に合わせて臨機応変に残ってきた個体です。弟妹の面倒をよく見ていた優しいお兄さんでした。弟たちが台頭してくると持ち前のユーモアで乗り切り、最後まで上手に群れに溶け込んでいました。歳をとっても真っ黒な毛足が見事で、大きな体格と瞑らな瞳はまるでクマのようなのに、見かけによらずとても優しくおおらかな性格で、ジャック一家の中では一番好きな個体でした。私は彼らが生まれた時から東山のオオカミで定点観測を始め、点と点ながらも群れの移り変わりを観察してきたので、その意味でもマイケルが亡くなったことに悲しみと寂しさを感じます。レラと同じく、彼も長男としての存在感がとても大きい個体でした。
コロナで混雑する園館には足が遠のき、神戸にもずっと訪れておらず、そろそろ会いに行かないとまずい…と考えていた矢先の訃報だっただけに、会いに行かなかったことをとても後悔しています。

レラ、マイケルが亡くなったことで、国内の群れでは「長男・長女」がどこにもいないことになりました。長男・長女ともに下に弟妹ができるとヘルパー行動をするので、どんなふうにヘルパー行動をするのかや、長子が複数個体の場合はその行動の違いを観察することも、群れ観察の醍醐味でした。国内のオオカミ家族をいくつか観察してきた限りの話ですが、「群れ」にうまく残っていく長子個体の特徴として、当初はとても熱心に愛情深くヘルパー行動をしていたこと、両親よりも弟妹に甘かったこと(餌を譲る、失礼を許す)が共通点として感じる部分でした。また、若い頃は序列が上にいるものの、弟妹が育ってくると下位に追いやられる傾向にあります。自分が上にいた頃に、弟妹にしつこく誇示していなかったこと、自分の序列よりも「弟妹(家族)と一緒にいることが当たり前」な気持ちが大きい個体ほど群れに残れていたのでは、と考えています。
レラやマイケルはこの典型と思われる個体で、かつては円山のルークや、多摩のミロも同じ傾向があったと考えています。野生はわからないので動物園で生まれた家族群れに限っての話ですが、長子にこうした傾向の個体が1頭は出てくるのかもしれません。この件に関して、この先、検証を重ねられる家族群れが出てきてくれることを願います。

11月から年末までは、大きな訃報がなくホッとしています。

多摩の総括は折りたたみます。


スイちゃん来園!
# by hana440 | 2024-12-31 12:19 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)

良いお年を 2023年

今年も当ブログを訪れてくださった皆様、ありがとうございました。
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そして、いつも変わらず迎え入れてくれる動物たち、日々彼らとともに働いている園館の職員さんがたにも、心からお礼を申し上げます。今年もお疲れ様でした。
今年は年初からショックな出来事が続き、また私事で忙しく、多摩へ通う頻度を少し減らすことになった年でした。
ブログに関しては相変わらず主だった記事を更新できず、申し訳ありません。ブログ・SNS共に来年も気まま発信になりますが、気が向いた時に覗いていただけますと幸いです。

冒頭の写真は今年の12月上旬、小放飼場にいるセロです。多摩のオオカミ放飼場は様々な植物が生い茂っているので、その年ごとに、オオカミと四季を感じる光景が見られます。今年は「アジアの平原」が開設して10年の節目の年でした。10年前は、こんなに自然の繁茂する放飼場になるとは思いもしませんでした(笑)南からの日当たりの良さが夏場の難点ではありますが、いい放飼場になったなあとしみじみ思います。


毎年のことですが、今年も訃報が続いた年でした。まずは多摩以外のオオカミたちの総括から。
1月、群馬サファリパークのシンリンオオカミ、エフィー(メス)が亡くなりました。群馬は09年・10年と産仔が多かった中、エフィーだけが唯一のメス個体でしたが、群れの中での闘争で怪我を負い、それから室内飼育になったとのことでした。私が群馬を訪問した時にはもう群れ分けをしたあとだったので、会えずじまいでした。どんな顔立ちだったのか、一度会ってみたかったです。
2月から3月までは特記することはなく、それぞれの飼育園からの楽しいニュースが続いていました。22年末にジュリ・カエデ姉妹が移動した円山や、22年からホッキョクの展示を始めた大森山は、情報発信の頻度が上がっているように感じます。
4月には、富山ファミリーパークのシンリンオオカミ、シートン(オス)が腹膜炎により亡くなりました。
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私はシートンとは18年に会いに行ったきりで、その時は祖父のサスケと2頭で飼育(展示は別)されていた頃でした。大雪の中、突然スイッチが入ったように楽しそうに駆け回ったりゴロゴロしたり、ひとり遊びが上手な、お茶目なキャラクターが垣間見える個体でした。その後のノンノとのペアリングの様子は観察できていなかったため、再訪しなかったことをとても後悔しています。シートンが亡くなったことにより、群馬の血統を受け継ぐペアは日本にいなくなったことになります。
5月上旬、東山動植物園のシンリンオオカミ(?)、ティムとリンが同居を開始。繁殖を目指すとのことですので、今季からの動向が気になるところではありますが…、個人的には昨年の「良いお年を」の記事や「国内のオオカミ一覧」に書いた通りの見解が払拭できないので、他の園に比べると注目する優先度は下になっています。ただ、いつか2頭の実物は見ておきたいと思っています。
5月は今年唯一の遠征で、ホッキョクオオカミたちに会いに大森山へ行ってきました。
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メス姉妹のルーシー&ニッキー、
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オスのムーンと両方の展示を見ることができました。
どちらも年齢が若いからか、エネルギッシュで終始遊びっぱなし!観察していて非常に楽しく、興味深かったです。
ルーシー&ニッキーの姉妹は冬に入ってから序列闘争があったようですが、今後の関係性がどうなっていくのかも注目しています。
オスのムーンはこれまで見たオオカミたちの中で一番、やんちゃで子供っぽい印象でした。これから姉妹とペアリングをしていくでしょうし、オスとしてどんなふうに成長してゆくのか、先が楽しみです。
6月・7月は特にニュースはなし。初夏から気温が高い日々が続き、オオカミたちには特に辛い夏となりました。
8月、東山のシンリンオオカミ、ノゾミ(メス)の皮膚に病変が見つかり、入院することに。10月には回復して展示に復帰していますが、糖尿や高齢の影響が徐々に出てきているのかな…と心配しています。
下旬には群馬サファリパークのシンリンオオカミ、ジン(オス)が亡くなりました。ジンは平川でロジック(群馬)とミナ(旭山)との間に生まれた唯一の生き残りでした。死因は不明ですが、幼い頃から発育不全(骨など関節系)かもしれないという様子があったことや、ジンの同胎きょうだいの死亡要因を考えると、群馬と旭山の個体は遺伝子的に合わないのでは?と推察していたこともあり、何が要因となったのか知りたかったです。エフィー同様、ジンにも会うことが叶いませんでした。群馬に残されたオス3頭の年齢を考えると今後の繁殖は厳しいと考えられ、群馬(ゼットン)の血統はここで途絶えてしまうことになります。非常に残念です…。
9月、天王寺動物園のチュウゴクオオカミ、メラ(メス)に膀胱炎が見つかり、投薬治療を開始したとブログで報告がありました。メラはメスたちのリーダー的存在と思われるので、体調が悪くなると他個体との関係性に影響が出るかもしれません。回復できるよう祈っています。天王寺はオオカミのこうした健康上のトピックスを逐次ブログにあげてくださり、詳細も分かりやすいため、とてもありがたいです。
10月は大きな移動がありました。平川動物公園のシンリンオオカミ、ゼン(オス)が富山ファミリーパークへ。
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(2022年12月撮影)
富山へ来園してから、SNSで様子がまめに発信されていますが、展示場の馴致はしているものの、改めて「展示開始しました」との知らせはまだできないようです。平川で家族と過ごしていた時も、ゼンはきょうだいのなかで一番警戒心が強い様子が見てとれたので、新しい暮らしにもまた慎重になっているのでしょう。転園したものの、家族と離れて動揺した様子はなさそうで、ゼンの独り立ちは順調にできたんだなと安心しました。富山では将来的にゼンのパートナーとしてメス個体を導入予定とのことで、これからも楽しみです。
11〜12月は平和だったようです。22年は怒涛の訃報ラッシュだったので、今年は少し控えめに感じますが、それでもやはり悲しいことの多い1年でした。いよいよ繁殖シーズンに突入してきたため、各園のオオカミたちの動向も気になるところです。個人的には、那須のアザリーとシンラに進展があるといいなと願っています。


多摩の総括は折りたたみます。


年初から訃報が続いた
# by hana440 | 2023-12-31 23:20 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(1)