多摩の最長老のひとり、オランウータンのジプシーさん(メス、推定62歳)が9月27日に亡くなりました(
公式発表)。
いつも家族を優しいまなざしで見守っていたジプシーさん。
昨日、献花をしてきました。
室内に置かれた献花台には花があふれ、いつもジプシーさんの描いた絵が展示してあるスペースが祭壇になっていて(写真)、ファンからの言葉や、飼育員さんの思い出写真が飾ってありました。本当に亡くなっちゃったんだ…とこれを見て改めて実感、とても淋しい気持ちに。背を向けて帰るジプシーさんに「またね!」と吹き出しがついた写真が飾ってあったのを見て、思わず涙が…。
亡くなる前週まで普通に放飼場でお会いしていたので、突然の訃報のショックから抜けだせていません。写真を見るとまだ涙が出てきちゃうのですが、少しだけ思い出を綴ります。全て今年撮影した写真です。
今年の年始に行われたお誕生日会、62歳を家族で賑やかにお祝いしました。写真は左が孫のミンピー、右がリキくん。孫たちと一緒に遊ぶ姿をたくさん見せてくれた、優しいおばあちゃんでした。
私にとってジプシーさんと言えばこの姿!麻袋や毛布など、布を被って暖をとったり、日除けに使ったり。
その姿は時には占い師のように見えたり、聖母に見えたりしました。もしお話ができたら、どんなご託宣をいただけるだろう?なんて何度考えたことか。
色々な道具を使うのが大好きだったジプシーさん。たくさんの写真を見返していると、どこか「ふふっ」と笑ってしまう、楽しくユーモラスな場面を撮影していることが多かったです。オランウータンの賢さや、発想の豊かさを教えてくれたのもジプシーさんでした。
どの個体にも分け隔てなく穏やかに接し、温かく見守る姿が大好きでした。
彼女の慈愛に満ちた眼差しは家族だけでなく、来園者にも向けられていたように感じます。楽しく笑いながら眺めていて視線が合ったことも、撮影していてこちらを見てくれたことも、一度や二度ではありません。その場にいるみんなを温かい気持ちにさせてくれる存在でした。
オランウータンの素晴らしさを教えてくれたジプシーさんに、心から感謝と哀悼を捧げます。本当にありがとうございました。