ちょっと前ですが、2015年12月末から、16年2月中旬までのシマオイワワラビーたちを。
12月末、トラ舎横を登ったところにある放飼場は、ガラーンとして何もいませんでした。シマオたち、どこに行ったのかな?と道なりに進むと…
あっ、いたいた!パルマワラビーたちのおうちに引っ越したみたいでした。
とはいえパルマたちと同居していたわけではなく、今までのパルマの放飼場を横に分けて、一方をシマオ放飼場、もう一方をパルマとカササギガンの放飼場としたようです。イワ(岩)ワラビーなのに、登る場所のない放飼場になってしまいましたね…。
この場所は陽当たりがいいのが利点でしょうか。3頭、ここで思い思いに寛いでいました。左から、ロミちゃん、センくん、むすめちゃん。
ロミちゃんはこの日、しきりに袋の中を舐めていました。どうやら、ひびき動物ワールドから授かってきた、新しい命が宿っていたみたいです。
こうして大胆に寝そべったりしてましたが、まだ小さいのか、袋の中が見えることはありませんでした。メスがこうして袋を干しているの、ちょっと面白いですね。
続きは折り畳みます。新居での様子などと、ちょっと重めの内容です。
むすめちゃんは置いてあった葉っぱをもぐもぐしていましたが…
センくんに追い払われ、隅っこのほうに行く羽目に…。
前回も3頭の中で、むすめちゃんがひとり外れている様子をお伝えしましたが、関係はあまり変わっていないみたいです。
ここまでが15年末〜16年1月上旬の様子でした。
年が明けて16年の1月下旬に様子を見に行くと…
なんと、引っ越したのも束の間、また以前の放飼場に。しかも、パルマと同居してる!中央奥にいるのはセンくんです。彼は以前もパルマと同居していたことがあるので、慣れていたようですが…
警戒心の強いむすめちゃんと身重のロミちゃんは、岩場のほうで少し緊張していた様子でした。このときはパルマ舎を工事していたようです。
この日のロミちゃん(右)のお腹はこのぐらい。もうすぐ顔を出しそうかな?という感じ。
この状況でも、3頭の関係性は変わっていなかったようです。センくんとロミちゃんがくっついて行動、むすめちゃんはロミちゃんに追いやられたりして、離れてじっと警戒していたようでした。警戒心の強いシマオたちが、短期間で暮らす場所が変わったことによるストレスが心配になりました。
そして2月中旬、様子を見に行くと…
パルマ側の工事が終わったようで、また年末にいた放飼場に引っ越していました。センくんの後ろにカラーコーンが写っているのが、工事の名残です。どうやら、この岩場のない放飼場がシマオたちの新居になってしまったようでした。
この時、放飼場にはセンくんとロミちゃんしか見当たらず、むすめちゃんの姿がありませんでした。前回の様子を見ていただけに、むすめちゃんに何かあったのではと心配になり、後日、何度も足を運びましたが、むすめちゃんの姿を見ることはできませんでした。
3月の中旬、放飼場前で職員さんを見かけたので尋ねると、むすめちゃんが亡くなっていたことが分かりました。とてもショックでした…。
詳しい死因は分からないとのことでしたが、上述の経緯を考えると、群れ内でのストレスもあったとはいえ、度重なる引っ越し(捕獲)や環境の変化によるストレスも、原因のひとつなのでは?と思えてなりません。
現在、旧シマオ放飼場は、タスマニアデビルの放飼場になっています。一連の動きは、デビル導入のための整備で行われたことなんでしょう。でも…、そのためにワラビーたちの扱いがおざなりになっている印象が否めません。多摩では以前にもシマオたちが短期間で亡くなっているのに、飼育方法や環境について特に改善された様子もなく…、再びむすめちゃんを亡くしてしまいました。本当に悲しいです。
最近、多摩の展示は色々なところでエンリッチメントや掲示の充実などが図られ、以前よりも動物たちを見ることが楽しくなってきています。でも、その中でオーストラリア園、とりわけワラビー舎だけは旧来のまま。タスマニアデビルの掲示が充実していることと対照的に、ワラビーたちは通常の看板のみ。他と比べて殺風景な展示です。
デビルの放飼場にはたくさんのアスレチックがあり、立派な小屋があり、夏には冷風機まで入りました。でも、シマオ舎には小屋が一つと、丸太の切れ端がいくつか入っているだけ。旧放飼場よりもイワワラビーのいいところをほとんど観察できない展示。エンリッチメントも何もありません。同じエリア内なのに、展示の温度差がハッキリと分かるところが残念です。
人手、時間、予算、動物の人気や希少種などの優先順位…きっと園からしたら理由は色々あるのでしょうが、人の都合で動物たちが不遇な暮らしを強いられたり、結果命に関わるような事態になってしまうのは、飼育動物だからこそ、あってほしくないと思います。素人のいち来園者にも、動物たちにストレスがかかっていることが分かる状況なのは、いかがなものでしょうか。
また、「ただ見せるだけ」の飼育展示は、もう今の時代にはそぐわないでしょう。先進を行くべき、大都市圏の大きな園ならば尚更のこと。施設のことはすぐに対策はできなくとも、あらゆる動物への関心を持ってもらえるように、人気動物以外のことでも園から積極的に発信して頂きたいものです。
今度こそ、シマオたち全員がきちんと寿命を全うできるように…彼らにとって住み良くなるように、少しでも改善されることを願っています。
この日、新しい出会いがあったことが唯一、心の救いとなってくれました。
ロミちゃんのお腹から、初めまして♪ 環境の変化が続く中、無事に育ってくれて本当に良かったと安心した時間でした。この赤ちゃんの成長とその後のシマオたちの様子は、また先の記事で綴っていきたいと思います。
(2015.12〜16.2)