今日ものんびり動物園

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遠吠えの変化(2013/12/14、12/28)

秋も終わりが近づき、冬に入ろうという時期から群れの遠吠えが変化してきました。
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みんなお昼寝中の静かな放飼場のなか、上位組から少し離れたところにいるセロがひとり、遠吠えを繰り返します。彼の遠吠えは美しい重低音。
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表題の日付になるひと月ほど前から、彼がこうしてひとり遠吠えする回数が増えました。何度も遠吠えを繰り返していると…
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最初にまず、雌の誰かが反応し、クンクンと鼻鳴きが始まります。複数の兄妹が鼻鳴きを始めた時点で、セロ自身も鼻鳴きに変え、群れのほうへ歩いて行きます。
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元気のないロボに代わって、ベータのロイ(中央)に許可を迫るように、尾を振り、大きく鼻鳴きをするセロと雌たち。
このとき、アルファのロボは茂みのなかで爆睡しており、彼らの鼻鳴きにはいっさい反応しませんでした。具合が悪かったことも関係しているのでしょう。また、近くに隠れていたオメガのネロも、このときは一切声を出しませんでした。
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ロイも一緒になって鼻鳴きを始め、やがて大合唱の遠吠えに変化していきます。
以上の写真は12月14日に観察されたものでした。

狼の遠吠えは、テリトリーの主張、遠くの同族に群れの強さを知らせるため、そして家族の結束をより高めるため、などの意味があるそうです。多摩の家族たちは近くにライバルの群れがいるわけではないので、遠吠えをする大部分はこの「家族の結束を高める」という目的だと考えられます。
ずいぶん前に記事にした通り、この群れの遠吠えは誰か(主に雌個体)の鼻鳴き、もしくはロボのいきなりの遠吠えが合図になり、大合唱が始まるパターンでした。
では、最近になってアルファ以外の一個体の遠吠えから始まるようになった理由はなんでしょうか?12月28日に見られた遠吠えと、そのあとの様子から、その後判明した事実を加えて考察してみます。

続きは折り畳みます。




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午後もだいぶ過ぎた時刻、家族揃ってお昼寝タイムの静かな雰囲気のなか、やはりセロだけが頭を起こしていました(写真左)。
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この日も、ひとりで遠吠えを繰り返すセロ。数十分の間、孤独な遠吠えがあたりに響いていましたが…
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ここでもやはり、最初にそばにいた雌たちが呼応し、鼻鳴きが大きくなってきました。セロも立ち上がり、尾を振って寄ってくる雌たちと挨拶を交わします。
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クンクンと鳴き交わしながら、セロと姉妹たちが移動して行く先は、そばで寝そべっていたロボの元でした(右端)。
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ロボ父ちゃんに甘え、まるで元気づけるように戯れるセロ。娘たちも交互にロボの口元を舐め、鼻鳴きを続けます。
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ロボが「あーもう、わかったわかった!」と言ってるみたいに見えます(笑)ここからロボが第一声を上げ、家族の大合唱が始まりました。
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このときのロボの遠吠えは甲高く、息が続かない細切れのものでした。いま考えると、病気のせいで体力がなかった証拠なのだと思います。遠吠えを終えた後、いつも通り家族同士のコミュニケーションや権威の誇示をする行動などが見られますが…
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珍しく、ロキが自分からロボに甘えにいく姿がありました。今までロボから叱りに行くことはあっても、ロキが自分から仔狼のように甘えにいくことは滅多になかったので、一体どういう風の吹き回し??と不思議でした。彼なりに、ロボの体調を気遣っていたのでしょうか。
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ロキへの示威を終えたロボに、再び甘えてみたり、服従の姿勢を見せているセロ。まるで、「父ちゃんはアルファだよな、ずっと強いんだよな」と確認している作業のようにも思えました。
ロキの態度といい、セロのこの一連の行動といい、もしかしたらこのときには、家族のなかで「ロボ父ちゃんは具合が悪い」という事実が明確になっていたのかもしれません。
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また、セロの場合はオメガになったネロを助ける役割もしていましたし、そのせいか上位からの風当たりが強くなっていました。ここで家族の結束を高めたい(もっと仲良くしようよ)という意味を込めて、ひとり遠吠えを繰り返していたのかもしれません。
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この時期にひとり遠吠えをし、その後大合唱に繋げていたのはセロの他に、ロトでも確認されました。彼もまた、アルファの病気への不安や、ネロがオメガに転落してからの群れの雰囲気がギスギスしていることに、かなりのストレスを感じていたようです。他の家族が反応しなくても、一頭で延々と遠吠えをしている様子もありました。
今振り返ると、こうしてアルファでない個体が一頭で、しかも頻繁に遠吠えを始めるようになったのは、アルファの存在が危ういこと、そしてロボが亡くなった将来の、群れの崩壊(現在)を予兆させるものだったのではないか、と思えてなりません。
by hana440 | 2014-05-11 22:06 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)