今日ものんびり動物園

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マロを中心に考える、群れの狼関係 4

前々前回から続く多摩の狼関係の考察、最後はマロと現在メス1位のリロとの関係です。
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(左からリロ、マロ)アルファのモロが亡くなり、寒くなり始めた頃から、メス1位の自覚が少しずつ芽生えているリロ。それに伴って、マロがこうして大げさに服従の姿勢を示すことも多くなりました。以前はメロにばかり示威行動をとっていたリロですが、最近はマロに対して頻繁に行っています。
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遊び半分の示威行動が多いのも、リロの特技?の一つ(笑)歩いているマロ(中央)に、後ろから〜
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ジャンピングマウント!(笑)身体が小さいものの、運動能力の高いリロの動きに、マロは翻弄されているみたいです。
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よくこうして、襟首にぎゅーっとされていることが多いです。マロ、なんとも言えない、楽しくなさそうな表情をしています。リロが上位だからか、いつもされるがまま。べつに彼女と遊んだりじゃれたりはしたくないみたい。
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あまりしつこいと、マロのほうがぶち切れて終わってしまいます。リロとしては、マロと一緒に戯れたかったみたいでした。
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(左からマロ、リロ)マロにとってリロは、立場上は仲良くしておきたい相手のよう。たまに服従の姿勢から戯れ合いになったりもしますので、それなりに好感は持っているみたいですが、マロからすると少し壁があるようです。
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(左からリロ、マロ)冬に入ってから、リロがマロをマークする時間が格段に上がっています。いつも大抵そばにいて、マロが暴走しないように見張っているみたいです。それだけ、マロはメスの中でも突出して攻撃的と考えられているのでしょう。今のところリロの権威が強いのか、マロがリロに取って代わろうという動きは見られません。

一見、この二頭は仲が良さそうに見えますが、リロの監視と叱責の厳しさには、メス1位の役目のほかにも理由があるようです。
続きは折り畳みます。




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(左からリロ、マロ、ロイ)これは一枚目と同じような状況で、メス同士の順位の確認だったのが、横からベータのロイが混ざって来たときの様子です。前回書いた通り、今季はロイがマロを交尾の相手に決めているみたいなので、この光景も頻繁に見られています。が、リロはそれが面白くないようです。
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前回の記事と違う日のマウントの様子。右から前足をあげて邪魔しようとしているのがリロです。
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ロイがマロにマウントしている間、リロはこうして宥めるようにロイに甘えに行きます。普通に考えるとベータのロイとメス2位のマロが仲良くすることで自分の立場が危うくなる、と思っているのかもしれませんが、リロはもともとロイが大好きなので、相手になっているマロには、ヤキモチもあって厳しく当たっているのではと推察しています。マロには災難ですが、自分がチロにやっていることと同じことを、リロにされていることになりますね。

以上、つらつら書いてしまいましたが、マロがメスたちをどう思っているか纏めると↓
・リロ→強いので服従しておく(嫌いではない)
・チロ→大嫌い!私が上になったからにはいじめてやるわ
・メロ→なんか可愛い、でも私のほうが上だから媚びないわよ
・ミロ→いつでも自分の力を誇示したい存在

私からすると、マロは群れの中でも賢く(悪く言えばズルく)立ち回っている存在だと思っています。
こうして纏めてみると、マロにとっては自分の感情よりも、順位や群れでの立ち位置のほうを重要視しているのだなと分かります。感情のまま牙を剥いていると思われがちな彼女ですが、そうした行動の裏には上記の「順位への固執」があるのかもしれません。他の個体と比べると、とても理知的に周りとの距離を測っていると言えます。
他の個体は、彼女ほど立場ばかりを気にすることはなく、それぞれの家族に対する愛情のほうが透けて見えてくることが多いのです(例えばセロ、リロなど)。
マロを起点にして順位が上なのか、下なのかでも、個々の行動と周りとの関係、それぞれの想いが見えてくると思います。

そして今回少し纏めたかったことを以下。
兄妹同士の群れということで、恋愛感情はないと思っていましたが、成獣同士ということもあるのか、それに近い感情はどの個体も抱いているようです。これまでの観察で分かった個々の慕情を纏めると
ロキリロロイマロロト←→チロ
セロ、メロ、ミロ、ネロはなんとなくでハッキリしないので省きました。みんな片思い気味ですね。でもこれはあくまで個々のほのかな気持ち(オスに関しては性的欲求含む)の問題であって、メスたちからすると交尾に至る関係になることとはまた別みたいです。
園側はもちろん兄妹間で繁殖をさせるわけにはいかないため、メスたちには数年ごとに発情を抑制する薬を投与していますので、肉体的には発情が来ないことになっています。しかし、薬を投与したとしても脳には発情期の記憶があるそうで、季節が来ると、卵巣や子宮が動かなくても発情期の行動をとるように命令が下されるそうです。この時季にメスが思わせぶりな態度になるのはそう言うことだったのでした。
オスたちには特に何もしていないので、こちらは当然性欲からくる行動でもありますが、メスたちが交尾を受け入れない以上は、一向に欲求が果たせないことになります。結果、こちらも順位やメスを巡る闘争を招いていると言うことになります。
野生の群れでは下位同士での繁殖例もあるそうですので、こうした近親交配での繁殖もあると仮定されます。ということは、やはり兄妹同士であっても、恋愛かそれに近い関係にはなるということかもしれません。みんな血縁ですし、「恋愛関係」と言うには難しいところもありますが、それぞれの慕情を仮定して観察することもなかなか面白いのです。

4回に渡って書いてみた考察ですが、所詮人間の妄想に過ぎませんので、この通りかどうかは果たして謎です(笑)。
今季は群れの様子が変わり、住処も変わったせいか、昨季のように激しいメスの闘争はまだ見られませんが、代わりにオスたちの権力誇示が加熱しています。引き続き、観察を続けていきます。
by hana440 | 2014-01-16 10:06 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)