今日ものんびり動物園

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偉大なる母・モロ 3〜子供たちと〜

モロと言えば、国内で一番といっても過言ではない、子沢山の母オオカミでした。残念ながら亡くなってしまった子供たちも含めると総勢で15頭を産んで、ほとんどを成獣まで立派に育て上げました。
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(左から2番目、ガウッとしているのがモロ)子供たちが成獣になっても、いつも甘えられていたモロ母ちゃん。私が動物園へ通い始めたのは、2008年の後半。真剣にオオカミの群れを観察するようになったのはもっと後になってからです。子育てに一段落してからのモロしか観察してきていないため、彼女の子育てがどんなだったのかは、zoo友のみなさんからのお話やブログでしか知りません。ですから、私の知っているモロはそのまま「みんなの母ちゃん」のイメージです。
この記事では、晩年のモロと子供たちとの関係について、纏めてみました。

多摩の群れではアルファ夫婦の役割がなんとなく分かれていて、ロボは息子たちを、モロは娘たちの面倒を見る傾向にあります。子供同士の諍いが起きたときもそれは同じで、必然的にモロは娘たちと交流する時間が多かったように思います。まずは娘たちとの関係から。
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(2011年12月、ミロとモロ)ミロとは一緒に子育てをした経験があるからか、何もしてなくても心が通い合っている様子でした。しかし、一昨年あたりからミロが「群れから離れたい」意思表示をするようになると、モロは自分からほとんどコミュニケーションを取ろうとしなくなりました。新居に引っ越した後は、オメガになってピリピリしているミロにそっと寄り添うこともありましたが、他の娘たちに比べると、やはり少し距離を置いていたと思います。モロなりに、ミロの自立を容認していたのかもしれません。

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(中央がモロ、舌を出している右がチロ、左はマロ)上位個体にヘコヘコしがちなチロは、当然モロに対してもこうして甘えることが多かったです。チロがオメガから脱し、上位になるべく奮闘するようになってから、モロの態度が俄然厳しいものへと変化していきました。最近の娘同士の諍いはチロが起点になることも多く、モロが彼女を止めるべくマークしていたのかもしれません。今年の繁殖期にモロの制止をきかずに暴走してしまったことで、よりモロから厳しく叱られるようになっていました。チロからモロに甘えることは多々ありましたが、モロからチロを舐めてあげたりすることは、ほとんどなかったと思います。ミロとは違った意味で、チロとは距離があったようです。
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最後にモロを外で見た日の、マロとのショット。マロはどちらかというと父ちゃんっこですが、モロにも甘え上手でした。一時オメガに転落して不貞腐れていた時期にも、ときおりモロに甘えることがあり、そのときはマロも穏やかな表情をしていました。新居に引っ越し、上位に上がって昔のように下位を威圧しまくるマロに対して、モロが厳しく叱ることはなく、こうして諭すようにコミュニケーションをとることが多かったかな。
マロとの関係は放任でも過保護でもない、ちょうどいい距離感に見えました。

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(右がモロ、中央がリロ、左はメロ)2008年生まれの末娘2頭はとくに甘えん坊で、モロもとても可愛がっているのがわかりました。
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特にリロはベータという地位にあるからか、一日見ているだけでもモロに甘える回数が一番多かったです。モロも可愛がってはいたけれど、アルファの威厳も保たなくてはならず、自然とガウガウと対応することばかりでしたが、リロもわかっていたのでしょう、お互いにとても楽しそうなやり取りだったのが印象的でした。また、メロに対して特に攻撃的だったリロをうまく抑え、諭す役割も主にモロが引き受けていたため、彼女が亡くなってしまったいま、ロボやロイだけで果たして大丈夫なのか、心配な面が多々あります。
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おそらく夫婦そろって家族の中で一番大事にしていたのがメロ。以前も記事にしましたが、モロのほうから積極的にコミュニケーションをとり、旧獣舎のときはピッタリとそばについている時間が長かったです。新獣舎に移り、メロがだんだんと若狼らしく明るく行動するようになったのを機に、モロも少しだけ子離れしたように思います。メロがお転婆な一面を見せるようになった分、モロが彼女を叱っている場面もよく見られるようになりました。なぜメロだけが過剰に子供扱いされて可愛がられていたのか…それはモロとロボしか分からないことですが、子供たちが成獣になっても群れから出て行かないこと(=子育てが終わってないと思ってしまう?)に対する歪みのようなものが、メロに注がれていたのかも、と推察しています。

モロ母ちゃんと息子たちのことについては折り畳みます。





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新獣舎に引っ越しても、モロが歩いているとみんなが甘えに集まってくるのは変わりませんでした。
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ロイは程よい距離感でモロに接していたと思います。彼から積極的に甘える場面は少なかったので、お互いに親離れ・子離れができていたのでしょう。ロイがしっかりした性格をしているからかもしれません。
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ロトともいい関係でした。もともとロトは、威圧されない限りは上位個体に甘えることが少ないのですが、モロには自分から「母ちゃん、毛繕いして〜」と寄って行くこともありました。ロトも落ち着いた性格をしているせいか、ロイと同じような関係性を保っていたと思います。
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セロはロボのほうに甘えがちですが、モロにも自分から激しく挨拶に行って、よく怒られていました。身体が大きいので、モロがグイグイ押されてしまって大変そうなことも…(笑)モロが一喝しても、まったく懲りずに、フリフリとせわしなくまとわりついて甘えていたのが印象的です。モロのほうはというと、ロイやロトに対する態度と変わらず、子離れは済んでいたように思います。
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ネロはベータに上がる前まではとても甘えん坊で、「母ちゃんは俺の!」という意思表示が強く、特に同じ末っ子のロキとはモロ母ちゃんを巡ってよく喧嘩をしていました(笑)モロとしては、焼きもちを焼くネロに対して叱ったり、ネロとロキには平等に接するように心がけていたようですが、とても可愛がっていたことは確かです。
ネロがベータになった時期から、ほとんどモロに甘えなくなり、その分ベータとしてモロが困っている場面にはサポートに入るなど、甘えん坊の頃とは見違えるような働きを見せてくれました。母ちゃんが大好きだったからこそ、先回りして補佐できたのだと思います。モロも、そんなネロの働きを頼りにしていたようでした。
引っ越し後、ベータから転落したネロですが、その後も甘えん坊に戻ることはなく、兄たちと同じように、モロとは程よい距離を保っていたように思います。
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ロキに対しても、やはり末っ子で可愛がっている印象でした。ネロとは違って、甘えたいけど控えめな態度だったロキには、モロのほうから気にかける場面も見られました。しかし、いつまでもぼんやりしているロキに教育的な指導をすることはなく(この部分はロボに一任でした)、かなり甘やかしていたように思います。ネロと平等に接しているようで、ロキにはほとんど叱るところは見られませんでした。このためかネロとは思考能力?の点で、明暗が分かれていると思います。引っ越し後は、ロキのほうが精神的に成長したようで、うまく親離れがすんだように見受けられました。

こうして見直してみると、モロの子供への態度は微妙なさじ加減で、10頭の子供たちそれぞれが、うまく一つの群れに収まるように成長してきたんだなと驚きます。そこにはもちろんロボの役割も不可欠ですし、子供たちそれぞれの個性も絡むのでしょうが…。成獣になった群れが、いままで闘争で誰も死亡することなくここまで纏まってきたのは、モロの子育てとその後の働きによるものが大きいと考えられます。モロは本当に、偉大な母親だったなと改めて思いました。

モロの追悼記事はこれでおしまいです。長い文章におつきあい頂き、ありがとうございました。
偉大なる母狼・モロにありったけの感謝を込めて……
by hana440 | 2013-08-26 11:00 | 多摩動物公園(オオカミ) | Comments(0)